肉離れ

陸上競技を例にします。
短距離・跳躍系では、太ももの後ろの筋肉(ハムストリング)、長距離ではふくらはぎの筋肉(腓腹筋、ヒラメ筋)に多いと言われています。その他、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)や太ももの内側の筋肉(内転筋)にも起こります。
発生は、陸上競技シーズンに入る4,5月に多いとの報告が多いです。
その原因としては、

  • 気温の上昇とともにシーズンインとなり、ランニングのスピードが上がること、またそれに対する技術が対応出来ていないこと、
  • 高校生なら全国高校総体(インターハイ)に向けて、各支部大会に出場し入賞しなければならない。そのためには疲れがあっても無理して出場する。

 

肉離れの例(MRI検査)

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原因

  • 筋肉の柔軟性の低下
    股関節周囲の柔軟性も関係しています。
  • 疲労
    全身の筋肉の疲労も関係します。筋機能の低下が起こり、肉離れを起こしやすくなります。
  • 筋力不足や左右の不均等
    ももの後ろの筋肉(ハムストリング、大腿二頭筋)の筋力は、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)の筋力の60%以上必要と言われています。
  • ウオーミングアップ不足
    筋肉の温度を十分に上げておかないと、肉離れを起こしやすくなります。
  • ランニングフォーム
    着地時に下腿の振り出しが大きいと、太ももの後ろの筋肉(ハムストリング)の肉離れが起きやすくなります。
  • 天候
    気温が低いと筋肉の温度が上がらず、肉離れを起こしやすくなります。

 

対策

  • 柔軟性の獲得 (ストレッチング)
    ウオーミングアップ時のみだけではなく、クールダウン時も。股関節を含めて下肢全体の筋肉に対して行いましょう。
    ストレッチングというと、弾みをつけない静的ストレッチングを思い浮かべるかと思いますが、弾みをつける動的ストレッチングも有効です。両者を使い分けましょう。

    *陸上競技女子100mの日本記録保持者である福島千里選手の所属する北海道ハイテクACと、練習場が同じである恵庭北高校女子陸上部は、動的ストレッチングを重視し、静的ストレッチングはほとんど行っていません。

  • 筋力の向上
    太ももの後ろの筋肉(ハムストリング、大腿二頭筋)の筋力は、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)の筋力の60%以上が必要と言われています。
    従って、定期的に筋力測定も必要です。スポーツ整形を専門としている整形外科病院では、筋力測定装置を常備していることが多いです。
  • 適切なランニングフォーム
    着地時に下腿の振り出しを大きくしない。以前はストライドを稼ぐために下腿を前に振り出すフォームが理想とされていました。しかし、下腿の振り出しが大きいと、太ももの後ろの筋肉(ハムストリング)の肉離れが起きやすくなります。

    現在では着地時の抵抗を抑えるために下腿の振り出しを小さくし、重心の真下に着地するフォームが理想になっており、これは良い傾向です。

  • 疲労対策
    練習後のアイシング、マッサージ

 

肉離れを起こしてしまったら

受傷直後からのアイシングと圧迫包帯を行い、腫れを最小限に抑えます。
受傷後、最低24時間はアイシングを行う事が望ましいです。

そして、
スポーツ整形を専門としている整形外科病院で、診察を受けましょう。
一般的には、診察と必要であればMRI検査を行い重症度の診断をします。
その後、ストレッチングなどのリハビリテーションを行っていきます。

大まかですが、復帰時期の目安です。
 軽症=1~2週    中等症=4~6週   重症=12週以上
*重症度の区別は、医師の診察・検査によります。また復帰には個人差があります。